子どもが生まれる・増えるから、今より広い家に引っ越したい! そう考えたとき、アパートやマンションといった集合住宅だけでなく、賃貸の一戸建てを検討する家族も多いでしょう。しかし、いざ物件探しを始めると戸建てを借りるのって実際どうなの?マンションに比べて不便なことはない?と、疑問や不安も尽きないものです。
私は双子含む3児のママですが、私自身も子ども達の成長や、双子の誕生にともなう集合住宅での限界を感じ、賃貸の一戸建てへ引っ越しを経験した1人です。そこで本記事では、実際に住んでみて分かったプレママ・子連れファミリーが賃貸戸建てを選ぶリアルなメリットと、住む前に必ず知っておきたい注意点を、17回の引っ越し経験と建築学科卒業の私の視点からお伝えします。
プレママ・子連れが賃貸戸建てを選ぶ4つのメリット
子育て世帯にとって、賃貸戸建てには集合住宅では得られない暮らしのゆとりがあります。まずは具体的な4つのメリットを見ていきましょう。
① 子どもの足音や泣き声など騒音トラブルのストレス激減
集合住宅で子育てをする上で、多くの親を悩ませるのが音の問題です。赤ちゃんが泣くのは仕方のないことだと解っていても、夜泣きや黄昏泣きが始まると壁一枚挟んだ隣の家に丸聞こえなのでは…と申し訳なくなり、気疲れしてしまうケースは少なくありません。さらに子どもが成長してワンパクな時期になると、家の中で走り回る足音による下階への影響もつきまといます。一戸建てであれば、隣家と物理的な距離があるため、こうした音のストレスから一気に解放されます。
私の家庭でも、引っ越し前は近所に迷惑をかけていないかと常にヒヤヒヤしていましたが、戸建てに移ってからは周囲の目を気にする必要がなくなりました。親の心にゆとりが生まれたからか、不思議と子どもの夜泣きや黄昏泣きそのものが穏やかになったと感じるほど、メリットは絶大です。
② 庭付き・倉庫付きなど、子育て期に嬉しい利便性と安心感
集合住宅の盲点になりがちなのが、ベビーカーなどの大型育児グッズの置き場です。特に我が家は双子いるので、双子用ベビーカーを使用します。多胎児用のベビーカーや、年の近い兄弟向けの大型ベビーカーは車椅子ほどの幅があるものが多い為、マンションの標準的な玄関スペースに置くのは困難です。だからといって共有スペースの屋外駐輪場に置けば雨に濡れてしまいます。我が家は結局、車に積んだままにするしかなく、外出の度に大人2人がかりで子どもを抱っこして車まで運び、現地でベビーカーを引っ張り出す……という過酷なルーティンをこなしていました。これでは大人1人のワンオペ時には実質、外出が不可能です。
これが屋外倉庫や専用庭のある戸建て賃貸になると、状況は一変します。玄関を出てすぐの倉庫に大型ベビーカーをスマートに収納できれば、ワンオペ中であってもサッと取り出してスムーズに外出できます。また、これは日々の利便性だけでなく防災面での安心感にも直結します。もし災害が起きた際、すぐにベビーカーを持ち出せない環境でのワンオペ避難は極めてリスクが高い為です。さらに、専用の庭があれば、わざわざ公園に行かなくても安全に外で走り回らせることができ、子どもの有り余る体力を日常的に発散させられるのも大きな利点です。
③ 将来の相続対策にも?ライフステージに合わせて住み替えられるリスクの低さ
マイホームを購入して一戸建てに住む場合、一般的には一生その家に住み続けることが前提になります。しかし、子育て期の真っ最中と、子どもが自立した後の老後とでは、家族に必要な家の広さや構造は180度変わります。
子どもが3人いる我が家の場合、子育て中の今は部屋数が多くて広い物件がベストですが、子どもたちが巣立った後の老後を考えると、広過ぎる家は掃除やメンテナンスが大きな負担になります。また、年齢を重ねて足腰が弱くなったとき、2階建ての家は階段での転倒・転落リスクがあり危険です。子どもが小さいうちは広い戸建てに住み、夫婦2人になったらコンパクトな平屋に引っ越すといったように、ライフステージの移り変わりに合わせて柔軟に住まいを変えられるのは、賃貸戸建てならではの大きなメリットです。
さらに、客観的なリスク管理の視点として将来の相続問題をクリアにできる点も見逃せません。 子どもが複数人いる場合、マイホームの不動産を残してしまうと、現金のようにきれいに分割できないため、将来の相続時に揉める要因になりがちです。あえて家を所有せず賃貸という選択をしておくことで、子どもたちに不要な不動産トラブルの種を残さずに済むという、長期的な安心感もあります。
④ 修繕費は大家さん負担!急な出費に怯えなくていい金銭的メリット
一戸建ての維持管理において、見落とされがちなのが建物のメンテナンス費用です。マイホームであれば、突然雨漏りがした!お風呂の給湯器(ボイラー)が壊れた!トイレが詰まって故障した!といったトラブルが起きた際、数十万〜数百万円におよぶ高額な修理・交換費用をすべて自分達で工面しなければなりません。特に子育て期は教育費などでお金がかかる時期でもあるため、こうした予期せぬ高額出費は家計に大打撃を与えます。
しかし、賃貸戸建てであれば、経年劣化による設備の故障や建物の不具合にともなうメンテナンス料金は、基本的に大家さん持ちです。何かトラブルが起きても、管理会社や大家さんに連絡すれば自己負担なしで対応してもらえるため、家計の防衛という意味でも、子育て世帯にとって非常に心強い味方になってくれます。
後悔する前にチェック!妊娠中・子連れ引っ越しで知っておきたい賃貸戸建ての注意点・デメリット
ここまでは魅力的なメリットをお伝えしてきましたが、暮らしのトーンが集合住宅とはガラリと変わるからこそ、知っておくべき現実的な注意点も存在します。住んでから後悔しないために、以下の4つのポイントを押さえておきましょう。
① ゴミ出しや庭の手入れがすべて自己責任になる大変さ
マンションやアパートなどの集合住宅では、敷地内に専用のゴミ置き場があり、物件によっては24時間いつでもゴミ出しOKという恵まれた環境もあります。しかし、一戸建ての場合はそうはいきません。地域のルールに則り、指定された収集場所まで、指定された日時に自分達で持っていく必要があります。子どもが多い家庭、特に赤ちゃんがいる時期は、紙オムツなどで毎日とんでもない量のゴミが出ます。もしも1回でもゴミ出しを忘れてしまうと、次の収集日まで家の中に大量のゴミが溜まることになり、特に夏場は衛生面でも致命傷になりかねません。ゴミ出しの逃せないプレッシャーは、戸建てならではの隠れた盲点です。
また、憧れの庭付き物件にも地味なメンテナンスがついて回ります。 我家は子どもたちが遊べる広さの全面芝生の庭がありますが、綺麗な状態を保つためには定期的な芝刈りが必須です。結局、小型の芝刈り機を購入し、時間と手間をかけて手入れをしていますが、これが予想以上に面倒な作業です。もし芝生ではなく土の庭だったとしても、雑草が猛スピードで伸びる夏場に、炎天下の中で草むしりをするのは体力的にもかなりキツい労働になります。
② 2階建て以上の物件は階段の安全対策とプレママの移動リスクあり
賃貸戸建ての多くは2階建て(あるいは3階建て)です。 妊娠中にお腹が大きくなってくると、家の中での階段の昇り降りは想像以上に足元が見えにくく、転倒・転落のリスクをともないます。また、出産後も、赤ちゃんを抱っこした状態や、上の子と手を繋ぎながらの昇り降りは常に緊張感が漂います。子どもがハイハイや歩き始める時期になると、階段の上下にベビーゲートの設置が絶対に欠かせません。物件によっては壁や柱の構造上、市販のベビーゲートがうまく固定できないケースもあるため、内見時に安全対策がしっかり施せるかを事前に確認しておく必要があります。
③ ワンオペ育児中の見守りの難しさ
ワンフロアで完結するマンションとは違い、戸建ては空間が縦に分かれています。これがワンオペ育児のタイミングで難易度を上げることがあります。例えば、ママが1階のキッチンで夕飯の支度をしているとき、子ども達が2階の子供部屋で遊んでいると、物音や気配が察知しづらくなります。密室になりがちな構造だからこそ、子ども達が何をしているか?に目が届きにくく、静かだと思ったら予期せぬイタズラや怪我をしていた…ということも起こり得ます。間取りを確認する際は、生活動線だけでなく育児中の見守り動線がスムーズかどうかも客観的に評価することが大切です。
④ 気密性・断熱性がマンションより低く、光熱費が高くなりやすい
一般的に、鉄筋コンクリート造のマンションに比べると、木造の戸建ては気密性や断熱性が低くなる傾向があります。さらに、部屋数が多く空間が広い分、エアコンが効くまでに時間がかかったり、各部屋で同時に冷暖房を回すことで、電気代・ガス代といった光熱費が集合住宅時代よりも高くなりやすいです。 特に小さな子どもがいる家庭では、24時間快適な室温を保つ必要があるため、毎月のランニングコストが上がる可能性は頭に入れておくべきでしょう。また戸建て賃貸だとプロパンガスという物件もあり、都市ガスよりコストがかかる場合があります。
借りる前に要確認!賃貸戸建て特有の契約・退去時の盲点
集合住宅とは異なる戸建て賃貸だからこそ、入居する前と後(退去時)の金銭的・契約的なリスクにも目を向けておく必要があります。
① 原状回復の範囲と子どものラクガキ・傷への事前対策
戸建てはマンションに比べて部屋数が多く、壁紙(クロス)や床の面積が圧倒的に広いです。そのため、子どもが派手に壁に落書きをしたり、おもちゃをぶつけて床を大きく傷つけたりした際、退去時の原状回復費用が膨らみやすいというリスクがあります。
我が家では、万が一の退去時トラブルを防ぐために、物件探しの段階から敷金が最初からきちんと設定されている物件を選びました。最近増えている敷金ゼロの物件は一見初期費用が安く魅力的ですが、退去時に一括で高額な修繕費用を請求されるリスクがあり、子連れファミリーには逆にハードルが高くなることがあるためです。
また、日々の暮らしのなかでも、子ども部屋の和室の障子にガードを設置したり(※具体的な障子の破れ対策はこちらの記事で詳しく解説しています)、お絵描きには万が一床にはみ出しても水拭きでサッと落とせる水性クレヨンを採用したりと、あらかじめ傷や汚れを防ぐ工夫をしておくと、退去時の不安をグッと減らすことができます。
② 定期借家契約ではないか?長く住めないリスクの確認
戸建ての賃貸物件のなかには、大家さんが海外赴任している3年間だけ貸し出す将来的に親族が住む予定があるといった定期借家契約の物件が存在します。定期借家契約の場合、一般的な賃貸のように自動更新して長く住み続けるということができず、期間が来たら確実に退去(引っ越し)しなければならなくなります。子どもが小学校を卒業するまではこの地域にいたいなど、長期的なライフプランがある場合は、その物件が普通借家契約(更新ができる契約)なのかどうかを、契約前に必ず不動産屋に確認しておきましょう。
まとめ!メリットと現実を天秤にかけて、家族にベストな選択を
妊娠中や子連れでの引っ越しにおいて、賃貸戸建ては騒音トラブルからの解放や、育児グッズの収納、将来のライフステージの変化に柔軟に対応できるなど、非常に多くのメリットをもたらしてくれます。その反面、ゴミ出しや庭の手入れといった一戸建てならではの日常のタスクや、空間が広い分だけの安全対策・見守りの工夫といった現実的なデメリットも存在します。
大切なのは、メリットの華やかさだけに目を奪われず、こうしたリアルな注意点までを冷静に天秤にかけ、自分たちの家族のライフスタイルに合っているかを見極めることです。ぜひ、今回のチェックポイントを参考に、家族みんなが笑顔で暮らせる最高の物件を見つけてくださいね!
